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羆塾の経緯と活動履歴



経緯

 羆塾は2005年、北大雪山塊の中山間地域・丸瀬布において現・羆塾のベアドッグハンドラー岩井によって設立され・・・というのが型どおりの説明ですが、単独で活動を開始した当初、あるフォーラムでヒグマのレクチャーをした際に「何か所属はないのか?団体は?肩書きは?」とフォーラム関係者に詰問され、困ったあげく「じゃあ・・・ひぐまじゅく?」と場当たり的に答えたのが発端です。「研究所」とか「調査」という高尚で学術的な言葉をどうしても使いたくなくてそんな答になったのですが、私にとって「塾」のイメージはひとえに幼少の頃所属していた「競泳塾鯱」という小さなスイミングクラブの印象で、決して進学塾や松下村塾のイメージではありません。とにもかくにも、成り行きでそういう名になってしまったため、以後、北大雪山塊のヒグマの調査、丸瀬布「いこいの森」を中心としたヒグマ対策を「羆塾(ひぐまじゅく)」として担ってきました。道庁や札幌市をはじめとする道内市町村・本州方面・猟友会などからの講演依頼を受け、2010年には書籍を出版するなどしたため、改名の余地はどんどん小さくなって来たところです。
 活動開始から10年後の2014年、この取り組みに賛同した道内各地の有志によって一般社団法人化し、丸瀬布で得られたヒグマの事実やスキル、対策手法をベースに活動を道内に拡張しました。その活動は短期間に一定の成果を上げましたが、ベアドッグという方法論の洗練・確立が最重要課題と捉え、2016年からは北大雪に腰を据えなおし「若グマの忌避教育」をはじめとするベアドッグを用いた活動に戻っています。2018年、法人格を放棄し従来の任意団体としてさらに精力的に活動を開始し、白滝ジオパークの担い手であるNPO法人えんがぁるジオ倶楽部の協力団体として、また新たに創設されるNPO法人ミンタルの外郭アシスト団体としてヒグマ対策・調査・普及啓蒙を担っていくことになりました。(岩井)


  調査・研究ヒグマによる被害防止に結びつく調査・実践的研究

  被害防止の助言と実践
農地防除・人里への出没防止・ヒグマの性質改善・捕獲助言

  啓蒙・普及
パンフレット、看板制作・設置、フォーラム講演、執筆・撮影活動、ウェブページなど

  行政への働きかけ
調査報告書・提案書等の提出・勉強会・対応助言 など

丸瀬布における調査・追い払いなどの活動
 ヒグマの動向調査(踏査による痕跡調査・GPSによるGIS化)
 2005年:丸瀬布町ヒグマ駆除指針に対する提案書提出
 2005年:「いこいの森」から半径5qの調査エリアを選定。調査開始。
 2005年〜:「ヒグマ対策パンフレット」作成。閲覧用を温泉「やまびこ」に設置。
 2006年〜:「若グマ」の人間忌避教育(調査を元にした絞り込み・意図的遭遇からの「追い払い」)
 2006年7月:普及のためのヒグマ撮影開始
 2007年〜:丸瀬布「いこいの森」内および周辺の「ヒグマ看板」制作・設置
 2009年:ベアドッグ育成開始
 2009年〜:「いこいの森」周辺のヒグマ調査・パトロール・追い払いを重点的に実施
 2010年:「いこいの森」への電気柵提案・正式決定
 2010年7月〜:観光課の理解を得、「いこいの森」および周辺の対ヒグマリスクマネジメントを開始。
        電気柵、ベアドッグ、バッファゾーン、オオカミの尿を導入
        従来の歩き回る調査に加え、石灰まき・高所作業車によって降里個体を調査。
 2010年3月:チームβの仔犬を無事揃えベアドッグ・チームの育成開始
 2011年7月:ベアドッグを「いこいの森」周辺に本格導入。8月・9月の追い払い実績は5回・4頭
     9月:夜間におけるベアドッグによる「追い払い」を模索・導入
        デジタルセンサーカメラを導入・電気柵を前にしたヒグマの行動を調査
 2012年7月:観光エリアのヒグマRMとして「いこいの森−マウレ山荘・ヒグマ対策連絡会」発足
       活動は2011年活動を継続。前年に予測した教育個体5頭を集中的にマーク・追い払いをおこなう。
 2013年5月:「ここはヒグマ生息地」の看板文言とデザインを採用される。丸瀬布エリアでも約30ヵ所設置。
 2013年5月〜10月:遠軽町の依頼によって「いこいの森」周辺のヒグマ調査・追い払い等の対策全般をおこなう(単年度契約)。
 2013年11月〜12月:「滝野すずらん公園」(札幌)への進入個体対策でベアドッグを出動させました(with魁)
 2014年秋〜:札幌市西区小別沢において市民農園のヒグマ調査・防除対策開始
 2014年秋〜:札幌ベース(藻岩山裏)・丸瀬布ベースの整備が進む
 2015年7月:社団法人の丸瀬布ベースにおいて管理上の内部事故発生
        改めて、ベアドッグのオフリーシュ活動を遠軽町・オホーツク振興局に認知してもらう                  
 2016年:「いこいの森」周辺にてオオカミ由来の忌避物質の最終テスト。成功に至る。
 2016年秋:2006年、(旧)丸瀬布町への招致に失敗した「ヒグマの会フォーラム」が10年越しで開催成功。
 2017年2月:NPO法人「えんがぁるジオ倶楽部」発足。ヒグマ担当として「いこいの森-マウレ山荘ヒグマ対策連絡会」の作業を引き継ぐ
 2017年2月:ドイツの名門犬舎より訓練系ジャーマンシェパードをベアドッグラインに導入する計画を実行。
 2017年〜:若犬・竜(RYO)の実践投入と並行し、羆塾の再編に取り組む
 2017年12月:従来の調査・対策エリアに拠点を置き、子供の自然教育活動を包含したNPO法人立ち上げに伴い、 
         羆塾はその組織の野生動物対策部署として心機一転する


フォーラム/講演・講義・報告・取材など
 2007年4月:「ヒグマ・フォーラムin遠軽町」(主催:遠軽町)
 2007年秋:「秋のヒグマ・フォーラム〜身近なヒグマをちょっと知ってみよう」(主催:白滝黒曜石遺跡ジオパーク推進協議会)
 2008年5月:「フライフィッシャーのためのヒグマ対策」(FlyFishingFesta2008,AKAN)
 2008年8月:「丸瀬布のヒグマ動向から見る〜担い手の将来像」(「ヒグマの会」クマフォーラムin西興部)
 2009年2月:釣り人のためのヒグマ対策in江別市(石狩川イトウの会主催)
 2010年4月:行政対象ヒグマ勉強会
 2010年10月:ヒグマフォーラムin標津町 「丸瀬布報告」
 2011年10月〜北海道・振興局による「ヒグマ捕獲技術研修」(網走・上川・留辺蘂・根室)講師を務める
 2011年12月:白滝ジオパーク・交流センター「北の王者、ヒグマが棲む大地」パネル助言・写真提供
 2012年2月〜道庁関係「ヒグマ研修講師」・札幌(石狩振興局)
 2012年2月:名寄市・ヒグマ被害防止研修・講師
 2012年7月:名寄市東側・風連〜智恵文周辺のヒグマの活動を調査。 電気柵設置状況の確認と助言。
 2012年10月:WWFジャパンの取材―――「いこいの森」周辺のヒグマ対策
 2013年5月:WWFウェブサイトに掲載 シリーズ:クマの保護管理を考える(11)『ヒグマとどう付き合うか?遠軽のベアドッグ』
 2013年5月:BE-PAL取材「青空オピニオン」 趣旨:ヒグマをよく見て合理的に対応する。掲載6月
 2013年11月:ヒグマ講演(札幌・BigTaimen)
 2013年12月:ろうあ者のためのヒグマ講義(札幌)
 2014年2月:東神楽町にて被害防止の講演(主催:東神楽町「鳥獣被害防止対策協議会」)
 2014年2月:江別市・野幌森林講演にてヒグマフォーラム開催(主催:石狩川イトウの会)
 2014年2月:札幌「かでる27」にて、ヒグマに関する市民フォーラム開催。講演・パネリスト(主催:札幌市)
 2014年5月:石狩市にてクマのレクチャー(厚田里山再生の会主催)
 2015年7月:大坂/関西学園大学にて講義「教えて生かすヒグマ保護管理法〜クマの教育学とベアドッグ」
 2015年9月:長野県大町市にて講演「ヒグマ教育学〜切り札はベアドッグ」/NPO法人ピッキオ/信州ツキノワグマ研究会

 2017年3月:鳥取県鳥取市において講演 「ベアカントリーを悠々といけ!」〜捕獲リバウンド現象をヒグマの社会力学で説明
 2017年9月:興部町にて講演「ひぐまを知ろう〜捕獲一本槍との決別へ」 主催:北海道猟友会興部支部・後援:興部町


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 2014年3月:羆塾が社団法人化
 2014年7月:厚田にてヒグマ対策レクチャー(主催:厚田里山再生の会)
 2014年7月から10月:丸瀬布・札幌にてベアドッグ取材(UHB・HBC・北海道新聞社)

文筆活動―――2005年より調査を元に執筆
 2005年:旧・丸瀬布町「いこいの森」来訪者のための「ベアカントリー安全マニュアル」(パンフレット)を作成
 2009年5月〜7月:釣り人のためのヒグマ対策(NorthAngler's連載)
 2010年2月:年刊『渓流』/『熊学』
 2010年5月〜:FlyFisherエッセイ『北大雪のベアドッグハンドラー』連載
 2010年5月:単行本『熊のことは熊に訊け。』発刊
 2010年11月:月刊『つり人』(つり人社)
 2010年11月:月刊FlyFisher「いまクマに何が起きている?」
 2010年12月〜単行本『熊のことは、熊に訊け。』下巻執筆
 2011年5月〜『風のベアドッグハンドラー(仮題)』執筆
 2011年7月〜「ヒグマの会」ウェブサイト内『ベアカントリーの心得』『最前線で暮らす』ほかを執筆
 2011年10月:「羆塾」HP作成・12月開設予定
 2012年5月〜:『NorthAngler』にて「札幌のクマ騒動について」連載
 2012年7月:「いこいの森−マウレ山荘・ヒグマ対策連絡会」の発起に伴い啓蒙パンフレット作成
 2013年12月より:丸瀬布事例を元にした論文執筆「ヒグマの社会力学がもたらす生息配置と局所的年齢構成変化」
 2017年〜:ウェブサイトを大幅改訂

 ※1 2010年9月:遠軽町長宛に「いこいの森」周辺のクマの調査報告書・対策提案書を提出。受理。
 
 現在、北大雪山塊・丸瀬布を中心とし、ヒグマの生態・生息調査、被害の構造研究、防除対策研究をおこないつつ、フィードバックすべく、各種アウトドア関係団体・道内各自治体を対象として、ヒグマ生息地および周辺での安全な活動・暮らしの普及啓蒙に取り組んでいます。
 ・ヒグマの活動・年齢構成・性質等の調査・分析と、その結果に対する合理的な対策の助言・提案。
 ・ヒグマ被害防止対策の基本的研修+個々の問題に関する質問等
 ・若グマの忌避教育・追い払い・移動ルートの変更など
 ヒグマに関わるあらゆる悶着・軋轢・問題に関して、臨機応変に対応しています。
 


岩井 基樹(いわい もとき)/羆塾創設まで
 1963年、三重県桑名市生まれ。名古屋市鶴舞小/世田谷区玉川小・玉川中/東京都立戸山高校。北海道大学理学部在学中、北米の大河ユーコンの川旅をきっかけに北の原野に魅せられ、数年後、北米アラスカの森林奥に土地を購入し居住。そこでのシンプルな暮らしから21世紀以降の森と河とヒトの関係を見通す。対ヒグマリスクマネジメント(RM)の原型は、アラスカの森における生存のリスクマネジメントの1つで、関係学的な視点で構築されている。
 2000年、日本の拠点に構えた北大雪・丸瀬布(現・遠軽町)だったが、2004年に箱罠導入でにわかに起きたヒグマの大量捕獲劇を機にヒグマの調査に本腰を入れる。翌2005年、自らの活動を「羆塾(ひぐまじゅく)」と称し、無闇な捕殺によって逆に人里周りに増えた若グマの忌避教育に着手。特に若グマ・メス熊の個別プロファイリングとヒグマの社会学的観察をおこない、地域全体のヒグマの性質・行動の制御・改善を実践。さらに2009年、ヒグマ対策に特化して育成されたベアドッグを導入。問題を起こすヒグマを駆除する手法から、問題を起こさないヒグマを育てて生かす方向へのシフトを模索。

「羆塾(ひぐまじゅく)」の由来
 「羆塾」という名は考えあぐねて決まった名ではない。フォーラムを開いてもらったりする中で、「何か組織はないのか?」「肩書きは?」と詰問され、不意に思いついたのが「羆塾」だった。通常、この手の活動媒体は「研究」とか「調査」という名を入れたがる。私がおこなっていることも調査の連続でありヒグマの研究ではあるのだが、その調査・研究はあくまでヒトとヒグマの間に立った視点で、つまり、お互いの被害解消を常に念頭に置いているため、研究者・科学者というよりは、どちらかというとヒトとヒグマの問題のコンサルタント、あるいは被害を受けている人・地域の用心棒のようなイメージが近い。用心棒なら「羆塾」という名も悪くないが、用心棒には用心棒としてのスキルが要求される。確かなスキルを得るためには、ヒグマの現場を這いずり回り得る経験と、正確な知識や理解が必要になる。それをただ愚直にやる。寝ても覚めてもそこに集中し続け、一歩でも半歩でも前進する。それが羆塾流の原点にはある。
 
 もともと羆塾は私の芸名のようなものだったが、10年近くも活動をしていると、理解を示してくれる人や賛同者、それにいろいろな形で助けてくれる人が現れる。そうなってはじめてグループの名に昇格した感じもある。ただ、実際の現場では、一般の調査や研究ではできない一歩踏み込んだ活動を展開しているため、ある意味危険で、おいそれとそれを誰かに頼むことができない。それで、羆塾には学んだりアシストしてくれたりする塾生らしき人間が何人もいるが、義務と責任を一切負ってもらっていない。できる分野のことをできるときにできる範囲で。そんなスタンスで手伝ってもらっているのが実情だ。NPO法人になかなかできない理由もそのあたりにある。
 例えば、現在おこなっている「追い払い」も、そのまま普及段階に持っていく方法というよりは、可能性を洗い出しながらつくる一種のプロトタイプで、これをどう成熟させて一般に可能な方法にしていくかは今後の課題でもある。
 なお、塾ではあるが塾長というのを置いていない。関わるすべての者が塾生であり、強いて言うならば、ヒグマを含めたこの山の森羅万象と我が業と迷いが先生ではある。(岩井)



  
 
  
 
   

使用機材類
  カメラ:Nikon D500 with NikonVR70-200mm F2.8
      NIkon D750
      Nikon D-200
      Nikon D7000 with SIGMA17-70mm F2.8-4.5 Macro
      Nikon D-90 with Nikon 300mm F2.8/G ED VRU  
      Kodak DC4800 28-84mm F2.8-4.5
  画像ソフト:PaintShopPro7(描画) /NikonCapture4・CaptureNX・NXU(写真現像)
  GPS:Garmin eTrex Legend-Cx 
  GIS関係:GarminTopo10m、カシミール3D
  レンジファインダー:LeupoldR Compact Laser Rangefinder
  デジタルセンサーカメラ: BushnellR 8.0-Megapixel Trophy Cam HD(850nm)
                  Spypoint HD-12 w/ Remote Triggering Device(940nm)
  ベアスプレー:CounterAssaultStronger

ベア



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