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シカを補食するヒグマ
(2022年の例)


  6月。
R地点でベアドッグがシカ死骸とともにヒグマを感知、HIRYU/REIの2頭はヒグマを少し深追いしたが、MAGはそれを無視してシカ死骸(P地点)をめざし、そのまましか肉を食べていた。

 マゴローのこの行動から、そのヒグマが若年個体であることがわかる。

 シカの状態は、死後半日以内。肉はまだ十分残っていたが、銃弾等の跡は確認できなかった。
 
   
 
 11月。
A地点でベアドッグがヒグマとシカを感知。MAGとHIRYUの動きから、HIRYUはヒグマの先回りを試みたようだ。

 ヒグマはP→Q方面に逃げたことがわかるが、どの犬も深追いはしていない。シカ死骸の位置はP地点。

 検分の結果、銃弾痕はなく、肉はほとんど食べられておらず、シカの死後硬直もまったく始まっていなかったことに加え、シカを引きずった跡が確認できたため、このケースではヒグマが捕獲したばかりのシカを移動途中だったと結論した。

 
 
   6月。
ベアドッグのパトロールを数日間欠いた結果、このような土饅頭化したシカ死骸が林道脇20mほどのところに転がった。シカの腕の骨が噛み砕かれ、分断したシカの後半身(尾てい骨)は少し離れたところで見つかった。

 右写真のように、シカ死骸よりはるかに新しい草本糞があったことから、私が発見したとき、既にこのシカを捕獲したとは別個体が到来していた可能性もある。

 トレイルカメラ設置により、キツネ・エゾクロテンに加え、さらにほかの小さな個体がここに来たことがわかったが、精力的にこのシカ死骸を食べる様子はなく、すぐに立ち去った。

 私の前にここに居た個体は大型オス成獣(左右の足跡幅70センチ以上)で、行方を数qほど追い、十分離れたと判断した。

 残念ながら、このシカを捕食した最初のヒグマがどのような個体か、それはわからなかった。


   
  12月5日
 沢筋にあった胴長140pほどの大型の雄ジカの死骸をいったん見失ったが、急斜面上方30mのところまで持ち上げられ、肉のほとんどを食べられた状態で発見できた。
 この作業をおこなえるのは大型オス成獣しかないだろうが、既にクマタカなどの鳥類が寄っており、その個体がここに戻る率は低かった。
 シカの死因は不明。 
   
【番外編】 

 ほとんど食べ尽くされたシカ死骸(残骸)だが、訓練のまったくなっていない犬を連れて行くと、真新しいヒグマの足跡がベタベタついている危険な場所でこれになる。
 この大喧嘩を近くで感知していたヒグマも過去には何度かあるように思うが、こうなった場合は、意図的に大声を張り上げ喧嘩をできるだけ派手に続行し、ヒグマ側にアピールする。それが功を奏してきたためか、シカを巡る「ヒト・オオカミ・ヒグマ」の三者バトルになった試しはない。

 シカ死骸は、大型の雄ジカの死骸でも、大型のオス成獣が食べると3〜5日程度でこの写真の状態近くになり、キツネ・エゾクロテン・ヒメネズミ等のほ乳類、クマタカ・オジロワシなど各種猛禽類からカケス・コガラまでの鳥類、昆虫類が食物利用するようになるが、その状態でも別のヒグマを誘引しこの場所に導く。

 新しいシカ死骸を放置した場合、その場所付近に注意喚起するとすれば二週間程度だろう。

 
   
   

 

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